かほは次のサービスエリアでトイレに行き、よしきに折り返し電話をかけた。
「ごめ〜ん、今高速のサービスエリアなんだ。
友達家族と一緒に昨日から旅行した帰り。
車の中、子供達でうるさくて、着信気付かなかった〜!」
明るく平気で嘘をつく。
「そうなんだ、じゃあいいよ」
感情を表さないよしきの物の言い方。
「どうしたの?あおいさんとこじゃないの?」
意地悪く聞いてみた。
「いや、さっき帰ったから、会えるかなって思って…」
ゲンキンなもので、こういう時は反って困る。
「まだ、今○○サービスエリアだから、家着くの夜中になるよ。
明日ではダメ?」
「明日ならいいよ。
…だけど、またアイツいつ来るかわかんないからね?」
こう言う時は、かほを焦らせ、早く会いたい口実にしている…
それくらいのことは見抜いていた。
素直に会いたいと言える性格ではなく、いつもクールを気取り
かほの惚れた弱みに付け込んでくるのが、うまかった。
「ふ〜ん、そぅ、じゃ、とりあえず明日行くから」
素っ気なくそう言うと、かほは電話を切った。