縋るようにかほは言う。


「そんなの嫌!考えられない!

私は会いたい!また会いたい!」


「無理だよ、君が耐えられない」



幾度となく、あおいのことで言い合ってきた。


喧嘩の種はいつもあおいだった。


あおいがいる以上、同じことの繰り返しだろう。


よしきがそう考えるのも自然なことだった。



だが、かほの中では、今度こそ

《秀人》という存在があるから、うまくやっていけるのでは…?

との安易な考えがあった。



願っていた平等な関係――




いつか…



いつか・・・・・



私から…



私の方からさよならを言ってやるんだ!



このまま引き下がっては、また自分が振られる形ではないか。



佳奈子の自尊心が許さなかった。


そう、くだらない自尊心が…





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