30分ほど話ただろうか…

突然よしきが言い出した。


「俺…やっぱりアイツを捨てられないわ…もう諦めた。

・・・だから、もう君とは会わない方がいい」



その途端、かほは取り乱した。


「なんで?!
じゃあなんで、電話してきたの?

私だって、このまま連絡なかったら、忘れてしまえたかもしれないのに…

そんなこと、わざわざ言う為に掛けてきたの?」



「…それは……」

よしきが言葉を詰まらせる。

「・・・約束したから…
アイツが帰ったら、連絡するって」



そんな・・・

罪だよ、今更・・・・




もし、この電話がなかったら

きっとかほは、よしきとの思い出を胸に閉じ込め

秀人との新しい未来を歩んでいただろう。


それが、永遠のものとなるかは別として

一つの区切りをつけていただろう。



よしきに、自らさよならを告げるには

佳奈子と秀人との歴史が浅すぎたのかもしれない……。





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