――間違い電話?

それとも誰か番号変えたのかな…?



いつもなら、知らない番号には出ない佳奈子だったのに

何故だろう・・・・


ふと電話に出てしまった。



それも、運命という一括りに例えたらよいのだろうか…?




「もしもし?」

相手を伺うように、小さな声で応答した。



「£%#&*@§?」

店内の煩さに、うまく聞き取れなかった。


「もしもし」

もう一度言う。



「元気にしてた?」

今度はしっかり聞こえたのだが


――えっ?誰…?

さっぱり見当がつかない。


間違えてるんだ!この人…


「はい?」

語尾を上げ、相手に間違いだと気付かせるかのように、若干大きな声で返事をした。



するとまた

「元気だった?」

と相手は言う…



佳奈子がその声の主を理解するのに、数秒かかった。





……それは、紛れもなくよしきだった。


すぐに気付かないなんて……!

佳奈子は心の中で苦笑した。