それでも心配だった佳奈子は、子供達に事情を話すと、秀人の家へと向かった。
佳奈子が自分で運転して行くことは滅多にない。
その上、暗い夜道だ。
複雑に分かれている高速道路の進路を間違えないよう
ゆっくりと景色を確認しながら走った。
だが気持ちだけは先走る。
眠ってしまわないうちに着きたい…
病気の時、一人だとどんなに淋しいだろう。
こんな時くらい、いつもの恩返しをしたい……
やっと秀人の家に近いコンビニに着いた。
飲み物やドリンク剤などを物色しながら、ウロウロしていると
持っていた鞄から微かに携帯の鳴る音がした。
こんな夜遅くても、賑やかな音楽が流れている店内では
空耳かと間違える位の音だった。
秀人の着信音でもない。
誰の音でもない、一般からのメロディに気付き
かほは携帯を出して電話の主を確かめた。
光を放つサブディスプレイには
見慣れない数字が並んでいた。