秀人は、今まで何年も付き合ってたかのように
全く気疲れをしない相手だった。
佳奈子を大切にし、安らぎをもたらしてくれる。
だが、皮肉なことに
安心感のある男には、トキメかない。
とかく危険な雰囲気を持つ男に惹かれるものだ…
でももう戻らない……!
私だけを見て、私だけを愛してくれる
ずっと望んでいた関係…
そう言い聞かせ、かほはよしきの面影を消すかのように
何度も胸の奥にしまい込んでいた。
秀人の寝顔を見る度に、愛おしく、幸せを噛み締め、心に誓う。
これからは、この人と共に歩んで行こう…
この出会いに感謝し、大切に育てよう。
よしきにもし、また会うことができたら、自信を持って言おう。
《好きな人ができました。
もうあなたと会うことは二度とないでしょう…》
と―。
佳奈子はどこか清々しい気持ちさえ感じていた。