「携帯見たんだ?なんで見るかな?
私何かやましいことした?
これだけ一緒にいて私が何かできると思ってんの?」
責めるような口ぶりで佳奈子はまくし立てた。
「だってかなち、前の男のことすごく好きだったじゃん。
他の人ができてもよしきが一番好きって書いてあった…」
泣きそうな顔で秀人は言う。
佳奈子は余計苛々した。
「だから、それはひでちと知り合う前のメールでしょ?
ちゃんと日付見たの?」
「………」
「そりゃ、その時はそう思ってたよ。
他の人がいなかったんだから。
でもこうしてひでちと知り合って
もう他の人を好きになれないって諦めてた私が、ひでちを好きになったんだよ?
好きになれたんだよ?
やっと忘れられるって、嬉しかったのに……
そんなことされて、言われて、すごく悲しい」
佳奈子は泣いた。
秀人は佳奈子を抱きしめると
「ごめん…ほんとごめんな。
不安だったんだ。ごめん……」
そう何度も謝りながら、佳奈子の背中をさすった。