Tears〜硝子細工の天使〜


それは、まだ秀人と知り合う前に交わされた、よしきとのメールだった。


『もし、かほに他の人ができて付き合ったとしても

私は多分よしきのことが誰よりも一番好きだと思う。

これから先ずっと……

そのことだけは忘れないでね』



他の人を探すから、と言っていた頃のものだった。



秀人とは週の半分以上一緒にいて

それ以外は電話が多かったので、さほどメールはしていない。


佳奈子の送信BOXから、このメールは案外早くに見つかったことだろう。


「何いきなり?」

佳奈子は苛々して言った。


「僕のことどの位好きなのかな〜って思って。

それに元カレのこと、まだ好きなのかな〜と思って…」

しゅんとして秀人は言う。





小さい男は嫌だ!

元旦那に似てる……

嫌悪感が湧いてきた。


――ウザい…!



やっとよしきのことを忘れて、この人とこれからやっていこう…


そう素直に思っていた気持ちに、泥を塗られたようで

佳奈子の気持ちはトーンダウンした。