Tears〜硝子細工の天使〜


ところがある時、事件が起きた。

どうして秀人がそんな行動をしたのかはわからない。



夜中眠ってる間に佳奈子の携帯を見たのだ。


疑われるような行動は何もないはず…


ただの好奇心からだとすれば、ちょっと質が悪い。

佳奈子はそんな秀人に腹が立った。




「ねぇ、かなちは僕のこと好き?」

突然そんな質問をしてきた。


「すきだおぉ〜」

秀人と話すとどうしても甘えた話し方になる。

そう言いたくなる雰囲気を秀人は持っていて

子供っぽく振る舞うことをまた《可愛い》

と感じ、更に可愛がってくれる。

全身で秀人にべったり甘えられることが快感だった。


それが本来の佳奈子であり、クールで感情を表に出さない大人の女には到底なれないのだ。



「僕もちゅきぃ〜」

いつもなら一緒になって甘えた声を出し

いい歳をした二人でニャンニャンと、バカップルぶりを発揮するはずなのに

その日の秀人は違っていた。


「そうか…

でも…一番好きじゃないよね?」

淋しく言う。



佳奈子はその言葉で、秀人が携帯を盗み見したことを察した。