秀人は、自分を捨てた母親に、はたちの成人式の日、手紙を書いた。


《あなたが産んだ、滝川秀人です。

お蔭さまではたちになりました。

あなたに一つだけ言いたいことがあります。

僕を産んでくれてありがとう》

と・・・・



その話を聞いた時、佳奈子は涙が止まらなかった。


この人を私が幸せにしてあげたい…


秀人の母にも、姉にも、妹にも、子供にもなって

この人に幸せをあげたい……





例えば、渋滞で苛々している佳奈子に

わざと音痴に童謡を歌って、笑わせてくれる秀人。


喧嘩をしても、いつの間にか話題がすりかえられ

何を怒っていたのか、佳奈子自身忘れてしまう…



その屈託のない笑顔と人柄に

佳奈子は今度こそ、自分も幸せになれる…

そう信じていた。