秀人は母親の顔を知らず、幼い頃施設で育った。

小学校に上がって間もなく父親が現れ、引き取られた。

しかし、まだ三ヶ月だった赤ん坊の秀人を置き去りにし、男と駆け落ちした妻を怨み

精神を病んでいた父親から、虐待を受ける幼少期を過ごした。


それは想像を絶するほど、過激であり

一歩間違うと殺されかねない残酷なものだった。


父親は働きにも行かず、貧乏だった為

一年中同じ服を来て、靴も買ってもらえなく、いつも裸足だった。

修学旅行は勿論、遠足にも行かせてはもらえなかったらしい…

運動会は家族で弁当を広げるのが当たり前の時代

弁当もないし誰も来ない為、校舎の裏で一人ひっそりと過ごした。

当然友達などいない。

だが、負けん気だけは強かったとみえて

小さい頃から年上相手に喧嘩三昧してきたという。

やられる前にやる・・・・

中学になる頃には、市内で名前を知らない者がいないほど有名になり

電車の中では、高校生から何度も絡まれ

駅で待ち伏せされることもあったようだ。