クルージングを二日後に控えた金曜日――
二人でいる時、よしきが突然尋ねた。
「ねぇ、かほちゃん、あさっての日曜空いてる?」
「えっ?あたし…クルージングに行くんだよね。
それに子供も一緒だから、今更キャンセルできないよ…」
日曜に誘われたことなどなかったかほは、この突然の誘いに驚いた。
「なぁ〜んだ!
せっかくかほちゃんと久しぶりにどこか出掛けようと思ったのに」
よしきは口を尖らせて、拗ねて見せた。
かほは迷った。
クルージングに行くか…
それとも…
またとないチャンスのよしきと出掛けることを選ぶか…?
「もっと早く言って欲しかったぁ〜!
里沙の友達が見つけてきて申し込んであるし…
私はどっちでもいいんだけど…里沙の友達に悪いじゃん?
それに、よしき……日曜は向こう行くと思ってたから…」
すごく残念だった。
この機会を逃したら日曜に一緒に出掛けることなど
二度とないような気がして胸はざわめいた。
……もしも…
もしも…里沙達を説き伏せ、よしきを選んでいたら…
運命の分かれ道――
それがあるとしたら
きっとこの時だっただろう。
よしきの本能が、何かを感じ、かほを誘ったように思えてならなかった。