ある日、拓也の友達の彰が訪ねてきた。
「里沙いる?」
「カラオケ行ったけど、里沙に何の用事?」
どうやら里沙にピアスの穴を開けてもらいに来たのだという。
里沙は手先が器用だったので、何人もの友達の耳にピアスの穴を開け
自分もすでに、2つの穴を開けていた。
里沙が帰宅すると、拓也の部屋から賑やかな声がしてきた。
どうやら彰も拓也も、里沙にピアスの穴を開けてもらっていたようだった。
彰は人なつっこく、家に来ると玄関脇の拓也の部屋を通り越し
必ず佳奈子の顔を先に見に来ては、あれこれ話して行くのがお決まりだった。
突然拓也の部屋から、彰が興奮して飛び出して来た。
「うわぁ〜あんま痛くなかったけど、怖かったぁ〜!
拓也も今開けてもらってるから、ママも開けてみたら?」
「やだ!あたしの耳たぶはね、ほら、分厚いでしょ?
これは福耳っていうんだよ。
それに穴開けたら、福が逃げてくわ!やなこった」
耳を見せながら佳奈子は言った。
幼い頃から言われていた。
『あんたは福耳だから、幸せになるしお金には困らないよ…』
嘘ばっかりだ…
幸せなんかじゃないよ!
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