娘の里沙も今では中学2年生――

お洒落に興味を持ち始め

あれだけ反対したにも関わらず、耳にピアス開けていた。


同い年の彼氏もでき、バレエを続ける為

熱心にやらなくてもよい部活に入ったのもつかの間

幽霊部員となり、ほどなくしてやめてしまった。


バレリーナを目指して、週に4回はるばる電車に乗り

有名なバレエ団の研究生として、いくつもの講演の子役に選ばれていた少女は

地元の友達との遊びを覚え、さっさとバレリーナの夢を捨てた。



息子の拓也はというと

推薦でなんとか入れてもらった高校の制服に、さほど腕を通さぬまま

学校の雰囲気に馴染めず

また、朝早くから1時間近くかけて通学することに負担を感じ

5月から不登校になり、やがて退学した。


彼らの友達といえば、中学からの友達しかいなかったが

幸い、佐藤家はオープンで、無邪気で誰とでも仲良くなれる母親、佳奈子がいることで

いつも誰かがいて、みんなが集まり賑わっていた。


父親がいないことも、若者が来やすい要因だったかもしれない。


佳奈子はみんなから「ママ、ママ」と慕われ

恋の相談にもよく乗った。