Tears〜硝子細工の天使〜


「……すみません…

落ち着いたら、必ず行きますから…今日は遅れます…」

かほがやっとそう言うと

「はいはい、じゃあ気をつけて」

と言って電話は切られた。


しかしいつまで経っても涙は止まらない。


感情が壊れてしまって、コントロールが利かないのだ。


状態が変わらぬまま、約1時間後――

泣きながら車を運転し、かほは職場へと向かった。



「…遅くなりました。すみません」

職員室に入っても涙は止まらない。

その様子に総主任も慌ててかほに近づいてきた。


「先生どうしたの?
危ないねぇ、運転してきたの?」


「はい…すみません…
涙が止まらなくて止まらなくて…」


「何かあったの?」


「いえ、特別何も…
ただ、行かなきゃと思うと行けなくて…

そんな自分がたまらなく嫌で・・・・」


後は涙で詰まって上手く話せなかった。


「今日はもういいから…
今から病院行ってらっしゃい」

背中を押し、主任が玄関までかほを誘導した。



「きちんと治さないと。

中途半端だと、度々休んで周りが迷惑するから…」


消え入りたい程の罪悪感に身がすくむ思いだ。



そう…かほは秋頃から、体調不良で休むことが度重なっていた。


3月など3分の1は休み、卒園式すら出席できなかった。