かほが落ち着いたのを待ってよしきは言った。
「何も言わなくていいから…
いつでも来るから、いつでも呼んで」
「ありがとう」
理由も聞かず、ただ黙って側に居てくれたことに
感謝の気持ちで一杯だった。
それよりも泣いているのをいいことに
弱みに付け込み甘い言葉で抱き寄せ
どさくさにキスをしてくるような
卑怯なことをしなかったよしきに
かほは益々気持ちを募らせていった。
それ以来二人の気持ちは
言葉に出さなくても通じ合っていた。
《かほさん》《よしきくん》が
いつの間にか《かほ》《よしき》に変わった。

