「・・・・だよね?
ね?佐藤佳奈子さん」
突然よしきの口からかほの本名が飛び出してきた。
唖然とし、返事もできないでいるかほに、よしきは言った。
「探偵つけてたでしょ」
断定的な言い方だった。
かほはみるみる顔が赤くなるのを感じた。
恥ずかしいやら情けないやら…
瞬く間に涙がこぼれ落ち
スカートに小さな染みが広がっていく…
「なんで僕が君の本名を知っているか…わかる?」
よしきの口調は柔らかかった。
かほは黙って首を横に振ることしかできなかった。
もう終わりだ…
全て終わりだ……!
ここまで知られてしまっているのなら
今更どう繕っても弁解の余地はない。
嫌われて当然だ・・・
また会えるようになったと喜んだのも束の間
激しい後悔がかほを襲った。