Tears〜硝子細工の天使〜


それから何度目かの夜…

よしきは例のブラックメールについて触れてきた。


かほは、よしきとメールできるようになっても

偽メールは止めなかった。


それは急に止めればかほではないか、というよしきの疑惑を決定づけてしまう・・・

そう思ったからだ。


少しづつ減らしてフェードアウトしていくつもりだった。



笑いながらよしきが話し始めた。

「かほちゃんと別れてしばらくしてから、メル友ができたんだよ」


なるべく顔色を変えないよう配慮しながら

「ふ〜ん」

そっけなく相槌を打った。


「それがさぁ、別れた彼氏の愚痴ばっかりなんだよ。

たまに下手な詩を書いて送ってきたり…」


《下手くそ?》


内心ムッとしたが、表情を崩す訳にはいかない。

「へぇ〜幾つの子?会ったの?」

話に乗ったふりをしながらも

かほはよしきの真意を測りかね

心はざわざわと音を立てていた。



「26? 8?だっけかなぁ…覚えてない。

一度会おうってことになったのに、どたキャンされて

…ったく振り回されて参ったよ」


かほはさすがにギクッとして

もうこれ以上この話を続けたくなかった。