Tears〜硝子細工の天使〜


よしきはその言葉を聞くと

「ちょっと、こっちきて」

とかほの手をひっぱり、堤防の階段を降りていった。



そして、川原に腰をかけると静かに言った。


「…正直何年かかるか、実際別れられるか…俺にもわからない。

それでもいいの?」


苦悩に満ちたその顔は

かほの知らない世界が二人にはあり

思い通りにならないジレンマを感じているようだった。



あんな風に勢い余って言ったものの

かほもよしきが言うように

それに耐えられるか、満足できるか…

自信はなかった。



かほが俯き、言葉を探していると


「かほを傷つけておいて、僕からはそんな虫のいいこと言えないよな…」

よしきは、フッと横を向き笑った。


「ゆっくり考えて決めて。
かほがしたいようにすればいい」


そう言うと煙草に火をつけた。