かほはアパートの方へ目を向けた。


窓からこの位置が見える。

あおいは今、どんな気持ちで一人部屋にいるんだろう…?



ふと我に返ってよしきに尋ねた。


「ねぇ…いいの?

こんなとこで話してて…見えちゃうよ?

怒って来たらどうするの?」



「あいつは出てこないよ、そんな勇気ないし。

それより…これを見て気付いて諦めてくれるなら有り難い」


よしきのヤケクソとも

あおいを馬鹿にしているともつかない言い方に

かほは少々ムッときた。



「…そんなに嫌なら別れればいいじゃん!!」



「だから言ったでしょ?

簡単に別れられたら苦労してないよ!」



苛々した様子でよしきは言う。



―――わかんない…!


わかんないよ、そんなの……


またかほは黙り込んでしまった。