堤防のコンクリートの壁にもたれ、よしきが先に言葉を発した。


「意外と遅かったね。もっと早くに来るかと思ってたよ…」



《えっ?!どういうこと?》


何が言いたいのか、どう返事したらよいのか…

考えあぐねて黙っているかほによしきは言った。


「申し訳ないことをした。

悪かったね…傷つけてごめん。

ホントにごめん…」


その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れてきた。


自分がどれだけ卑劣なことをしたかを思うと、逆に謝りたい気持ちになった。



「うぅん、謝らなくていいよ。

よしきがあおいさんを選んだんだもん…

しょうがないよ」

目を逸らし、小さな声でかほは言った。



「選んだ?!それは違うな。

あおいが残った…そう言った方が正しいかな」

苦笑しながらよしきが言う。


かほの中に期待と安堵の色がにわかに滲み始めた。