よしきは出て来ないだろう。
あおいの手前、出て来られるわけがない。
この二人の間には入れないんだ…
私の入る隙なんかないんだよね……?
小さくなり、俯きながら立っていると
人影が近付き、窓から様子を窺っているようだった。
かほはわざと顔を見られないよう、身動き一つせずじっとしていた。
あおいが出てきて怒鳴られるのかも…
一瞬逃げようかと思った矢先、玄関が開きよしきが出てきた。
よしきは黙ったまま、顎で方向を指示し
目で《行くぞ》
という合図をすると、かほの先に立ち歩き始めた。
突然のことにかほはすぐに動けず
すたすたと足速に前を行くよしきの後ろに、2.3歩遅れて後を追った。

