「あおいさんのお母さんの事ですがね…
アルコール依存症だと聞いてましたが、仕事にも行っているようで…
普段の様子からは、そうは見えないんですね。
その逆で、あおいさんの方は、殆ど家から外出もしないし
犬の散歩か近所のスーパーへ行っただけで、後は姿を見せないんです。
……もしかしたら・・・
病気なのはあおいさんなんじゃないかと…
いや、憶測ですがね」
安部の話にかほは答えた。
「お母さんが依存症っていうのは
あおいさん本人の口から聞いたことですから、本当だと思います。
…じゃあ……あおいさんが引きこもりみたいってことですか?」
「えぇ…そんな感じかなと・・・
あれ位の年齢なら、友達と出掛けたりしてもおかしくないと思うんですが
友達もいるのかいないのか…
あおいさんと接触できないことには始まらないので
家から出られないとなると、なかなかキッカケがないんですよ」
安部は途方に暮れたように言った。

