「佐藤さん、我々は全力を尽くします。
ただかなり難しい状況だということだけは、ご承知おき下さい。
必ず結果は出しますから、もうしばらくお時間頂けますか?」
懇願するように安部は言った。
「…わかりました。
よろしくお願いします」
かほは深々と頭を下げた。
そして祈る気持ちで探偵社を後にした。
それからしばらく、探偵社からの連絡はなかった。
不安な気持ちを常に抱えながら
毎日毎日探偵社からの連絡を待った。
季節は次第に秋の気配を感じるようになった。
待ちきれなくなったかほは
とうとう自分から探偵社へ電話してみることにした。

