全ての映像を見終えた時
かほの目から自然と涙が零れ落ちていた。
特別悲しかったわけではない。
悔しい気持ちは確かにあったけれども
安部の言っていたように
一緒に歩いている時に手を繋ぐわけでもなく
笑顔で会話しているわけでもなく
ただ俯き加減に並んで歩いているだけだった。
楽しそうな様子もなく
二人共、あのプリクラに写っていた時のように
淡々とした表情をしていた。
それがせめてもの救いだった。
かほが泣いていたのは、久しぶりによしきの姿を目にしたからだ。
ヘアスタイルが金髪から落ち着いた栗色になっており
バッサリと切られた髪が
歩くたびに肩の上辺りで揺れていた。
それはかほが胸をときめかすアイドルの髪形に酷似していた。
《私はこの人がやっぱり好き!!》
懐かしさと切なさが一気に込み上げ涙となって溢れてきたのだった。