Tears〜硝子細工の天使〜


しばらく考え込んでいると

安部はかほが不安に思っている理由(ワケ)を察したのか

「山下さんとあおいさんですけどね…

一緒にでかけたのは3日間の間で一度だけでした。

特別仲良さそうなわけでもなく

手も繋がず、淡々とした感じでしたよ」

と言った。


「…じゃあ…見てみます」


俯きながらゆっくりとかほは答えた。


わかりました、という目で合図をすると

安部はビデオデッキにテープを挿入した。


かほは逃げ出してしまいたい不安と

それでも見てみたい好奇心とで

とたんに落ち着きがなくなった。


出されたアイスティーは氷が半分ほど溶けかかっている。


心を落ち着かせようと、それにを一口飲み込むと

ふぅ〜、と小さくため息をついた。