工作が開始されて、三週間ほどが経った。
しかし探偵社から一向に連絡がないことにかほは苛々していた。
一体何やってるんだろう…?
どこまで進んでるの?
耐え切れなくなり、探偵社に電話を入れた。
電話に出たのは、女性相談員ではなく、男の声だった。
「田中さん、お願いします」
つっけんどんにかほが言うと
「申し訳ありません。
田中は只今面談の最中でして……少々おまち下さい」
男がそう言い、すぐに保留音が流れた。
せっかちなかほは、その間ずっと苛々し続けた。
「もしもし…お待たせいたしました。
わたくし、安部と申します。
只今田中は電話に出られませんので、わたくしがお話させて頂きます。
私も今回の件で、スタッフとして動いていますので
解らないことなどありましたら、何でもお聞きください」
初めて話す男に、かほは少々たじろいだ。
「そうですか…いや、あの…
何も連絡ないし、どうなっているのかと…ちょっと不安で」
遠慮がちに尋ねる。
「…んーいやぁ〜それがですねぇ…ちょっと難航してまして…
まだ佐藤さんにお伝えできる所まで来てないんですよ」
申し訳なさそうにその男は言った。