かほは祥子にいきさつを全て話し、相談をした。


「どうしても別れさせたいんだ…。
じゃないと前へ進めないよ…

このままだったら私…諦められない!」

泣きながらそう訴えるかほに祥子は優しく言った。


「それで気が済むのならやってみる?」


「もうよしきと戻れなくていいんだ。

ただ、あの二人が今でも一緒にいることだけが許せないんだ…」



祥子は面白半分にそそのかすわけではなく

かほの本心を理解し、そこまで思うならやってごらん

という気持ちから、そっと背中を押してくれたのだった。



一度決めたらやらなければ気が済まない

かほの性格も充分解っての上での判断だったのだろう。



その上、手付金もままならないかほに

「悪く思わないで、これで役に立つなら使って」

と封筒を差し出した。



何度も断るかほに、祥子は

「いいから、いいから、これは特別必要なお金じゃないんだ。

毎月パパの会社から貰ってる手当。

凄く失礼かもしれないけど……気を悪くしないで、受け取って?」

そう言ってかほの鞄に封筒を入れた。



かほは泣きながら何度も

「ありがとう…ありがとう・・・・ちゃんと返すから…」

と頭を下げた。