もしかしたら、環状線を走りに行ってるだけかも…
いや、レンタルビデオ屋さんかな。
それとも友達と一緒なのかも…
嫌な想像はやめて
かほは少し待ってみることにした。
微かな期待をして……。
――でも帰ってきたら、どうしよう…
待ち伏せしてたなんて思われたら…
とにかく落ち着かなかった。
《私何やってんだろ……?》
馬鹿だなぁと思いながらも
気分が沈み、すぐに運転する元気もない。
かほは運転席のシートをゆっくりと倒した。
体中カチンコチンになっていた緊張感が少し緩む。
川の流れる音と、鉄橋を渡る電車の音だけが
静かな夜にこだましていた。
.