「どうしたの?…泣いてるの?」
慌ててかほは尋ねた。
「…はい・・・すみません…
…あの、僕・・・
12月に彼女と別れたばかりで・・・
…彼女のこと・・・
まだ忘れられないんです。
それなのにかほさんに会ったら
かほさんに失礼かと…」
ゆっくりと言葉を選ぶようによしきは言った。
かほも別にどうしても会いたいわけではなかった。
ただ会ってみたいな…
という程度だった。
それに夫とはいずれやり直す時がくる。
《メル友に留めておいた方がいい…》
そんな思いも正直あった。
「うん、よしきくんの気持ちわかったから…
無理しなくていいよ。
今まで通りメールでいいじゃん」
励ますように明るく言った。
それは間違いなく本心ではあったが
かほは、ふと一抹の淋しさを覚えた。

