よしきに聞いても、うまくはぐらかされるに決まっている。
《あおいと一度話をしてみたい…》
かほは震える手で
自分の携帯にあおいの番号を入力する。
よしきに気付かれまいとする焦りから、指はスムーズに動かない。
心臓は今にも張り裂けそうだ。
何度もボタンを押し間違えながら
やっとの思いで登録を完了させた。
もの凄く時間がかかったような気がして
一気に疲れを感じた。
ふと視線を横にずらすと
よしきは今、隣でかほが何をして
これからどんなことが待っているかも知らず
安心しきったような様子でぐっすりと眠っている。
どうしたものかと寝顔を見ながらかほは考えた。
このまま起こさないで
よしきには内緒にしてあおいと話をしてみるか…
それともこの場で問い詰めるべきか…
迷いに迷った。
だがどうしても腹の虫が収まらない。
悔しくて、悲しくて
どうにも感情を押し殺すことができなかった。
あの時もう少し冷静になっていれば
状況は変わっていたのだろうか・・・・・
今となっては、それもわからない。
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