突然、携帯から

《着信》

を報せるメロディが流れた。


メール音が鳴ると思っていたかほは、咄嗟のことに驚いた。


勿論相手はよしきである。

一呼吸置いて、受話器をそっと耳に当てた。


「もしもし…」


電話で聞くよしきの声は

か細く、弱々しく

まるで中学生の声がわり前の子供のようだった。


「ねぇ、ホントによしきくん?

年齢ごまかしてる?
(それは自分じゃん!)

中学生とか…じゃ…ないよね?」



「違います…よしきです。
ほんとに24歳です…」

消え入るかのようなその声は

泣いているかのように聞こえた。