《よしきを信じよう・・・》
かほはそう自分に何度も言い聞かせた。
まるで自分で自分を納得させるかのように…
「ほら、早く行ってあげて」
かほの方から身体を離した。
「メール、待ってるから」
笑顔でそう言い
自分の車に乗り込んだ。
そして運転席に座ったまま
よしきの車が発進するのを待った。
ボロロロ〜ン♪
よしきの車の重いエンジン音が
静かな住宅街に響いた。
キキィ〜ッ♪
高い音と共に
よしきの車はあっという間にかほの視界から消えた。
その途端、堪えていたかほの目から
またとめどなく涙が溢れ
しばらくその場で泣きじゃくったまま動けなかった。
もはや涙腺は壊れてしまっていた。
《どうしたら信じられる?》
何が起こったのか…
夢ならいいのに…
よしきへの疑いと不安を拭いきれないまま
かほは家に帰った。
もう朝の5時だった。
考えれば考えるほど、よしきが解らなくなった。