Tears〜硝子細工の天使〜


「確かに女のツレだけど…

旦那さんに暴力を受けてるんだ。

とても酷くて…でも、逃げ場がないんだ。

だから、しばらく彼女をここにかくまわせようと思ってる」


―――冗談じゃない…!

友達だろうと男と女だ。

どうころんでいくかなど分からない。



「実家に帰ればいいじゃない?」

とかほは冷たく言った。


「彼女は両親がもういないんだ」


「じゃあ兄弟や親戚は?」

「いない、彼女は天涯孤独で頼るのが俺しかいないんだ」



それ以上かほは何も言えなくなってしまった。



よしきは困ってる人を放っておけなくて

まるで正義の味方のように助けてしまう性格はわかっていた。


かほと知り合った時も確かにそうだった。