よしきはまだ家に居た。
かほは、アパートの前に車を止めて電話をした。
ツー、ツー、ツー…
話し中だ。
そして数分待って再び掛けると、今度は繋がった。
「ねぇ…ほんとに行くの?!」
「行くよ」
はっきりとした答が返ってきた。
意志は固そうだ…
そう感じた。
「なんでこんな時間に行ってあげなきゃいけないの?
なんでそこまでしてあげるの?
女の子だよね、友達なだけ?
絶対行かせないよ?!」
よしきを攻め立てる言葉がついて出る。
「かほ…今どこにいるの?」
かほが一息ついた所で
よしきは落ち着いて言った。
「家の前の車の中。
ちょっと待って、すぐそっち行く!」
かほは電話を切るなり、よしきの部屋へと急いだ。
よしきはベットに腰掛けじっとしていた。
そして、かほが前に座ると
しっかり目を見据えて言った。
「かほちゃん、落ち着いて聞いて欲しいんだ。
そして、僕を信じて欲しいんだ」
「うん、わかった…」
よしきの強い表情に促されるように
自然と頷いていた。
それからよしきは真剣に話し始めた…
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