かほはその日よしきの家に来ていた。
すると、よしきの携帯に一本の電話が入った。
聞くともなしに、受話器の向こうから
女の半ベソ状態の声が聞こえてきた。
「…昨日まではよかったんだけどさぁ〜
今日になったらいきなり・・・」
そこでふいに声が途切れ、聞こえなくなった。
よしきが受話音量を下げたのだ。
かほに聞かれたくなかったのだろう。
よしきは親分肌で
頼られると、俄然張り切ってしまう所があった。
だから、いつも友達から相談を受けたり
揉め事の仲裁など頼まれていた。
この電話もきっと
彼氏と喧嘩した女の子から泣きつかれているんだろうな…
かほは何も深く考えず
ただ単純にそう思った。