「帰ったなら帰ったって教えてよ」
かほはあくまでも、よしきを逆なでしないよう
スノボに行ってたことを信じたふりをした。
「だってさっき帰ったんだ。でも仮眠取ったらまた行くよ。
かほが充電切れたら怒るから、取りに戻ったんだよ」
――充電切れたら怒るって…!
怒ったりしてないのに…
それにわざわざ取りに戻るわけないよね?
頭の中に浮かぶ言葉を、飲み込んだ。
黙って俯いているかほに、よしきは続けた。
「てか、何で居ないってわかってるのに来たの?」
かほはこう言われた時の為に、予め言い訳を用意してあった。
「メールできなくなったから、手紙書いて持ってきたんだ…」
「だったら、黙って置いてってくれればいいでしょ?!」
激しい口調でよしきは言う。
かほは、顔を引きつらせ、遠慮がちに言った。
「いや…そう思ったんだけどね?
…ホラ、車あったし…電気付いてたから、帰ったのかと思って。
………誰かいるの?」
「悪いけど、ツレが一緒だから、今日は上がれないよ」
よしきは冷たく言い放った。