かほは諦めずに何度も叩いた。
コンコン!
「いるんでしょ?」
コンコン!
「ねぇ、開けてよ」
懇願するように声を掛け続けた。
すると・・・・・
明らかによしきではないシルエットが、硝子越しに浮かんだ。
《誰?友達?》
だが、そのシルエットはすぐに消えた。
短い髪に原色の赤いスゥェットを着ていた。
一瞬だったけれども
女の姿にはとても見えなかったことに、少しだけホッとする。
その気持ちがかほを大胆にさせ、更に叩き続けると
明かりが付き、眠そうな顔をしたよしきが、玄関から出てきた。
思い切り不機嫌な顔をして…
「こんな時間に何?!」
苛々していることが、言葉の乱暴さですぐに気付いた。

