かほの願いも虚しく
よしきの赤いスポーツカーは、闇の中で静かに定位置に眠っていた。
ショックだった・・・
どうして嘘つくの?
私に来て欲しくないから居留守使ったの?
……でも…なんで?!
車を止めアパートの方を見ると、僅かな明かりが漏れていた。
かほは電話をかけた。
しかし、よしきは出ない。
三回位続けてかけたが
コール音が淋しく鳴り続けるだけで応答はなかった。
試しにメールも入れてみる。
やっぱり返事はない…
かほは恐る恐る部屋に近付いて中の様子を伺った。
ひっそりとした雰囲気の中に微かにBGMが流れている。
玄関の戸を叩いたが反応はない。
今度はよしきの寝ている部屋の硝子窓を叩いた。
やはり反応はなかった。
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