Tears〜硝子細工の天使〜


最初の3日ほどは、普通にメールも来ていた。


まるでゲレンデからのような内容…


『すごく雪が綺麗だよ!

あと3回滑ったら、ペンションに帰るね』


『ここの料理はホントに美味しい』



そんな・・・

わざとらしいメール

ちっとも嬉しくない…!!


それでもかほは気付いてないふりをして

それらに対しての返事をした。



『もう充電なくなるから、帰るまで連絡できない』


最後にそのメールを見た時…

かほはある決心をした。



《よしきの家に行ってみよう…》


《車がホントになくて留守かどうか確かめてみよう…》




そう決心すると、もう居ても立ってもいられない。


かほはその夜、こっそりと家を出た。



夜の空気は冷たくて

かほの心にも、しんしんとその冷たさが伝わり

身震いが止まらなかった。



《私は何をしようとしているんだろう…》


《事実を確かめたところで、一体どうしようというの?》



自問自答を繰り返しながら

それでも、胸騒ぎが治まらず

覚悟を決め、よしきの家へと向かった。