あまりにも突然声をかけられたため持っていた文庫本を取り落とした。
開け放したドアの前に立っていたのは相川くんだった。
「び、びっくりした…!
相川くんか!」
「おぅ、入るぞ」
相川くんは靴を脱いで部屋に入って来た。
「教習は?」
「終わった。今日8限目までやねん」
よくよく見ると相川くんは私服に着替えていた。
相川くんは「どっこいしょ」と言いながら横に座った。
「良かった。相川くんにはさっき挨拶できなかったし」
「そうやな」
「相変わらず引っ張り凧だね」
「繁忙期やしなぁ」
相川くんは生返事で返した。
何かを言いなずんでいるようだ。
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