「最近よく目合うんだ」
放課後、駅前のマックで愛加に話した。
「誰と?」
愛加は雑誌に目を落しながら、いけしゃあしゃあととぼけたことを吐かす。
私は額に浮かび上がる怒りマークを必死に振り払い言った。
「吉岡昇太とだよ」
「あぁ。だから言ったじゃん、知佳世の事好きだって」
たいした興味はなさそうだ。
「なんかちょっと気になるんだよねー…」
これは人間の性ってやつだ。
自分の事好きな奴
嫌いになんてなれないでしょ?
そーいう事!
愛加は雑誌から目を離し、ニヤリと笑う。
「ふーん。良かったじゃん!
両思い付き合っちゃえよ」
「からかうな!」
愛加がめずらしく満面の笑みを浮かべた。
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