戀々 -ren ren-



今日は土曜日で、繁忙期であっても教習に来る生徒は少なく教習車の稼働率も低
い。
まぁそれを見越して毎週土曜に教習車のメンテナンスをするんだけど。



教習車が少ない分、運転もしやすいし指導員も暇してて話とかするチャンスなのにもったいないなぁと感じながら、繁忙期中のつかの間の休息に胸を撫で下ろしている。



そんな中、里緒は足繁く通っているようだった。



さっき相川君から彼女の担当になったと聞き、今日里緒が来ている事を知った。
相川君には、「すごく趣味の合う教習生がいる」と話したことがある。
もちろん気になっていることは言っていないけど。


相川君によると7時限目に複数教習で当たるらしい。



複数教習となると間もなく卒業。

そして俺もひと月もしないうちにここを去る。

彼女の卒業が、俺がいる間であるように…。





そんな事を考えながら、ふと隣を見ると相川君が何やら真剣に本を読んでいる。



「何読んでんの?」


興味本位で聞いてみた。


「ん?『新妻の秘め事』」


相川君はわざわざブックカバーを外して表紙まで見せてくれた。



「…あっそう」



あからさまな絵の表紙とタイトルに著者と装丁家のセンスのなさを感じた。



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