戀々 -ren ren-




「こんにちは〜」


俺は助手席に座る彼女を見ることもせず挨拶し、運転席に座った。




ふと視線を感じ顔をあげる。


彼女は俺が顔をあげると瞬時に目を逸らした。



またか。
と、声が頭の中で反芻する。



決して自意識過剰ではないことを先に断っておく。



初めて担当する教習生がこの反応を示す時は99%、"イケメン"って思われている…。



いや、

本当に自意識過剰ではないんですって。





「…あの原簿とか、一式貸してもらえる?」


「は、はいっ!!」


緊張しているのか、彼女の声は上擦っていた。


彼女から"一式"
―教習原簿、配車券、教習手帳、運転教本
を受け取り、配車券だけ確認した。


「高木里緒さんですねー。
一段階の10回目な!
コンタクト?してる?」


一瞬見えた原簿に
「眼鏡等あり」
と書かれてあった。



「はい。してます。」



「よしよし。
張り切っていこうな!」




俺はそこで初めて彼女の顔を見たのだ。




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