「あーおやーぎくんっ!」



指導員室に戻ると4歳年上の同期、相川君が近付いて来た。


バリバリの関西人でイケメン。
教習生からの人気も抜群。



繁忙期でもなく、おまけに朝から土砂降りの雨で教習のキャンセルが相次ぎ、指導員室にはたくさんの指導員がいた。


俺も教習のキャンセルが出て急遽空き時間となったクチだ。

人気者の相川君が空いているのもきっと同じ理由だろう。




「なーに?」



「さっき俺が担当した教習生な、お前のことかっこいいってキャーキャー言うてたで〜。
相変わらずモテんなぁー」



相川君はニヤニヤと笑いながら耳打ちした。






「はぁ…」


俺はまたため息をつく。



教習生全員に同じ態度で接しているはずなのに、

どうしてこうも印象が変わるのだろうか。




「?」


相川君が不思議そうな顔をする。







「…興味ないよ、教習生なんか」



俺は自販機でコーラを買い自分の席へ戻った。



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