戀々 -ren ren-



「あんた何やってんの?
待ち合わせの時間とっくに過ぎてんだけど」


雄二が電話に出たことにひとまず安心した。
でも約束の時間に遅れていることに変わりはない。


私は少しいらついた声で言った。



『はぁ?
………あぁ。何、お前アレ本気だったの?』



「は?」



『お前の彼氏なんてどーでもいいんだけど。
別に会った所で俺にメリットねーし』



「何それ…」



『お前もバカだけど彼氏も本気にするなんて相当だな。
つか今彼女といんだよ。
用それだけなら切るぞ?』




耳元でげらげらと汚い笑い声が聞こえ、同時に甲高く品のない笑い声も聞こえてきた。




何も言葉が出ない……




吉岡昇太に呼ばれるまで、私は呆然と立ち尽くしていた。



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