私が考えあぐねていると、吉岡昇太の低い声が耳に響いた。 「おーい!」 ハッと我に返り顔を上げた。 吉岡昇太が目の前で手をバタバタと振っている。 「聞いてた?」 「あ、ごめん…聞いてなかった」 「しっかりしてよ」 吉岡昇太は乗り出していた身を元に戻し腕を組んだ。 「ごめん……。 何だった?」 「いや、日曜日の確認の話。 噴水前で良かったんだよな?」 「うん」 「じゃぁこの店に12時な!」 「え?でも約束14時だよ?」 「メシ食ってから行こうぜ」 そう言って吉岡昇太はにこりと笑った。 .