「よ、吉岡くん…」
「いま電話で俺の名前叫んでたでしょ?」
吉岡昇太は無表情で言う。
「あの、その…」
私は言葉に詰まった。
だって、元カレに見栄張ってついた嘘にあなたの名前を使いましたなんて言えないって!
「会わせるとか会わせないとか言ってたけど」
「お前どっから話聞いてたんだよ」
愛加が嘲るように言う。
「…」
吉岡昇太は何も言わず、愛加を見下ろした。
愛加も吉岡昇太を睨みつける。
これはまずい、一触即発だ!
「わかった。正直に言うよ。
さっきの電話、元カレからで…あいつ、彼女と別れる度に私のとこ連絡してきてしつこいから……
とっさに彼氏いるって言っちゃって…。
それで名前聞かれて吉岡くんの名前言っちゃったの…
なんかパッて頭ん中浮かんだから」
「…」
彼は黙ったままだ。
だけどさっき愛加に見せたような顔はしてない。
(相変わらず無表情だけど)
怒ってるのかな…
―ねぇ何か言ってよ!!
.



