『ねぇ…悠??』



もう聞き慣れた、少し甘えたようなありすちゃんの声は、



ありすちゃんの計算済みのものだと知ったのは最近のこと。



ありすちゃんは自分がどうすれば他人に好かれるか、よく知っている。



天然だと思っていた可愛らしい仕草も、



ありすちゃんにとっては、



自分で選んだ自分をより魅力的にする手段なんだということも。



ふとした時の上目遣いが得意なありすちゃん。



その色気のある目が俺をじっと見つめる。



……そうだね。



君が思うように、君は今日も可愛いよ。



彼氏でもない俺には何も言う権利はないし、



体だけは付き合いを重ねても、



相変わらず可愛いなと思う以外に、



俺にはありすちゃんに特別な感情は何も湧かないままだ。