キスが深くなって、どんどん余裕がなくなる。

それは俺だけじゃないらしく、澄子も同じようだった。


そっと唇を離すと、少し腫れた唇を開けたまま至近距離で俺を見つめる。

・・・


そっと手を伸ばし、澄子にあげたデジカメを手にする。

「?」

「澄子笑って」

俺がそう言うと、不思議そうに首を傾げる。

「笑えって」

そう言うと、困りながらも極上の笑顔を俺にくれた。


パシっと撮影ボタンを押す。


「なっなに?」

デジカメに残った俺の好きな澄子の笑い顔。


「すっげぇ、かわい。好きだよ澄子・・・」


これから何回も何回も来るクリスマス。

俺の一生分のクリスマスはもう予定済み。

例外なく俺の隣には澄子がいる。


そんな未来になることを、

こいつの笑顔を見ながら祈ったんだ。


「好きだよ」


普段は言えない台詞も平気で言えるのは、クリスマスのおかげなんだろうか。